日本食品科学工学会 第70回大会にて発表 “多菌種”ヨーグルトにおける 腸内環境改善とミドル層の疲労感改善等に成果

2023/09/01

チチヤス株式会社(本社:広島県廿日市市 代表取締役社長:大井太郎、以下 チチヤス)は、県立広島大学(学長:森永力)と株式会社ヘルスケアシステムズ(本社:愛知県名古屋市 代表取締役:瀧本陽介、以下ヘルスケアシステムズ)と共同で、多菌種ヨーグルトが人体に与える影響について調査しました。18歳以上65歳未満の男女60名を対象に、8菌種を含む“多菌種”ヨーグルトの腸内環境改善作用を調査し、女性で腸内の腐敗物質の減少、45歳以上のミドル層の男女で便臭と身体的疲労感の改善が見られたことを発表しました。

学会発表内容抜粋

 

8菌種を含む”多菌種”ヨーグルトを摂取することにより、次のことがわかりました。

(1)女性(18歳以上65歳未満)において尿中インドキシル硫酸※(腸内細菌由来の腐敗物質のひとつ)が有意に低下

【考察】腸内細菌叢が変化し、腸内の悪玉菌の一種であるインドールの産生が低下したため、

尿中のインドキシル硫酸値が低下した可能性が考えられます。

※インドキシル硫酸は、食品たんぱく質由来のトリプトファンが大腸菌やウェルシュ菌などの腸内細菌(いわゆる悪玉菌)によりインドールに変換、肝臓で代謝されたもので、尿中に排泄される。

(丹羽利充. “尿毒素による腎・血管障害と向血栓傾向.” 日本血栓止血学会誌 26.3 (2015): 318-322.)

(2) 45歳以上の男女において便のにおいが有意に改善

【考察】便の臭いはインドール・スカトール・アンモニア・硫化水素など悪玉菌が産生する腐敗物質が原因と考えられています(寺田厚, et al. “ヨーグルトの投与が糞便菌叢および腐敗産物生成量に及ぼす影響.” 食品と微生物 10.1 (1993): 29-34.)。

したがって腐敗物質が減少した可能性が推察されます。なおインドキシル硫酸値においては有意な差が認められなかったため、インドール以外の腐敗物質も減少して便のにおいが改善した可能性が考えられます。

(3)45歳以上の男女において身体的疲労感のスコアが有意に改善

【考察】試験食品の摂取により腸内環境が改善し、脳腸相関※を介して疲労軽減に働いた可能性が考えられます。

※乳酸菌やビフィズス菌等のプロバイオティクスは腸内環境を正常に保ち、脳腸相関を介して精神的ストレス軽減などの有益な効果をもたらすことが報告されている。

(加藤豪人. “ヒトにおけるプロバイオティクスの有効性と腸内細菌叢との関わり.” 腸内細菌学雑誌 33.4 (2019): 175-189.)

調査の結果

 

【背景】

近年、特定の乳酸菌をアピールした商品が多数登場している一方で、複数の菌を含む“多菌種”のヨーグルトに関する研究は多くありません。

今回、チチヤスでは県立広島大学、ヘルスケアシステムズと共同で、8種の菌を使用した多菌種ヨーグルトにおける腸内環境改善作用に関する臨床試験を実施しました。

【試験内容】

健康な成人男女60名(18歳以上65歳未満)を対象として、チチヤスの多菌種ヨーグルトと、対照として2種の菌のヨーグルトを、1日70g、4週間毎日摂取。摂取前後で①腸内環境検査(腸内細菌由来の腐敗物質である尿中インドキシル硫酸量)と②排便状況 ③VASアンケート(便通、肌の調子等)を調べました。

腸内細菌により産生されるインドール(腐敗物質)がインドキシル硫酸として尿中に

排泄される。この尿中インドキシル硫酸値から、腸内環境の良し悪しを判断。

【結果】

(1)多菌種ヨーグルトの摂取により、腸内環境が乱れている方、特に女性において腸内の腐敗物質(インドキシル硫酸量)の産生を減少させ、腸内環境の改善に働く可能性が示唆された【図1】。

【図1】

腸内の腐敗物質(インドキシル硫酸)の産生比較

摂取後、対照群と比較して有意に低下

(2)多菌種ヨーグルトの摂取により、45歳以上の男女において便のにおいが有意に改善しており、腸内の腐敗物質が減少している可能性が示唆された。【図2】。

【図2】便のにおいのアンケート比較

摂取後、対照群と比較して有意に改善

(3)多菌種ヨーグルトの摂取により、45歳以上の男女において身体的疲労感のスコアが改善。

腸内環境の改善が腸脳相関を介して疲労感軽減に働いた可能性が示唆された。【図3】。

【図3】身体的疲労感のVAS比較

摂取後、対照群と比較して有意に改善

以上の内容から、複数の菌種を含むヨーグルトの摂取は、腸内環境の改善と疲労感を軽減する可能性が示唆されました。

県立広島大学 飯田忠行先生(本研究大学担当者)コメント

 

近年、特定の菌(単一菌)による様々な研究がなされ、健康効果が示されています。本研究では、複数の菌による健康への好影響の可能性が推測されました。複数の菌を合わせて摂ることにより、健康維持・増進に役立つことが期待されます。

 

 

今回の試験で、8種の菌を含むヨーグルトにおける様々な健康効果が確認されました。

本調査の試験食品に含まれる菌種(単一菌)の一部は、先行研究でその健康効果を示す報告がありますが、複数の菌の相互作用による健康効果の可能性があります。

当社では今後も、複数の菌を組み合わせた多菌種乳酸菌に関する研究を推進し、お客様の健康に寄与できる商品開発を行ってまいります。


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